ichou1のブログ

主に音声認識、時々、データ分析のことを書く

FinTechを考える(その1)

お金とは何かを考えてみる

まずイメージするのは紙幣やコイン。
それらは、世の中にどれほど回っているのだろうか。

マネタリーベース統計によると、2021年8月末の時点で、市中に出回っているお金(通貨流通高)はおおよそ「122兆円」(紙幣が「117兆円」、貨幣が「5兆円」)

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マネタリーベース : 日本銀行 Bank of Japan

マネタリーベースとは、「日本銀行が供給する通貨」のことです。
具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と「日銀当座預金」の合計値です。

マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金

マネタリーベースの解説 : 日本銀行 Bank of Japan

下図は2010年からの通貨流通高の推移。10年前の2012年はおおよそ「85兆円」で、「40兆円」近く増えたことになる。
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1980年まで遡ってみると、おおよそ「20兆円」だった流通高が40年で6倍になり、「100兆円」ほど増えた計算になる。
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2021年第2四半期の「資金循環(速報)」によると、
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf

  • 家計の金融資産は「1,992兆円」(うち、「現金・預金」が「1,072兆円」)
  • 企業(民間非金融)の金融資産は「1,226兆円」(うち、「現金・預金」が「316兆円」)

ということになっている。

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「誰が現金を保有しているか」の保有内訳は別の資料をあたる必要がありそうだが、
「預金」は、「現金」の10倍以上、存在しているということになる。

また、「電子マネー」についても少し。
あらかじめ現金をチャージする「プリペイド式」の場合、チャージ等で払われる「現金」については「電子決済等代行業を営む企業」の手持ちになり、ユーザ(チャージした側)もある意味「預金」に変えているといえる。
また、「電子マネー」を支払い方法とする店舗に関しても、「預金」という形で振り込まれる形なので、ここで「現金」が姿を消している。

電子マネー」の普及に伴って「現金の流通高」が減っていきそうなものだが、「現金の流通高」は増え続けている。


"「お金」とは何か?"と考えた時、お札やコインとして存在するもの額よりも、はるかに多くの数値が積み上がっており、数字として存在するものでしかないことを感ずる。

(続く)